鯨法会は春のくれ、
海に飛魚採れるころ。
浜のお寺で鳴る鐘が、
ゆれて水面をわたるとき、
村の漁夫が羽織着て、
浜のお寺へいそぐとき、
沖で鯨の子がひとり、
その鳴る鐘をききながら、
死んだ父さま、母さまを、
こいし、こいしと泣いてます。
海のおもてを、鐘の音は、
海のどこまで、ひびくやら。
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鯨法会/こんあい
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鯨法会/はとねず
鯨法会
「金子みすゞ 童謡全集」(JULA 出版局)
〈デザイン解説〉
「人々の繁栄」と「鯨の命」みすゞさんらしい相反する事への問いかけ。このデザインは相反するモチーフ
の組み合わせ、みすゞさんが投げかけたメッセージを表現してみました。
「紺色(深い海)と窓の灯(人々の世界)」「波と星」「魚と小鳥」「鯨と木」「船と本」
人々と自然が共生出来る世界、まさに今、私たちのまわりで起こっている問題と重なるところが
あります。考える事を教えてくれるみすゞさんの代表作の一つです。