お百姓、畠に麦まいた。
毎晩、夜霜が降りたけど、
毎朝、朝日が消してって、
畠はやっぱり黒かった。
ある夜、夜なかに誰か来た、
杖を三べん振っていた。
「こどもよ、こども、出ておいで。」
あけの明星と、お百姓と、
一しょに麦の芽みィつけた。
そこにもここにもみィつけた。
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麦の芽/なえいろ
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麦の芽/うすき
麦の芽
「金子みすゞ 童謡全集」(JULA 出版局)
〈デザイン解説〉
田んぼや畑は、まるで幾何学模様のようです。麦を刈ったあとは、星のような模様が並びます。
畑のうねは縞模様、そんな自然が作り出すデザインをそのまま描いてみました。