• 仲なおり/あさむらさき

仲なおり

げんげのあぜみち、春がすみ、
向こうにあの子が立っていた。

あの子はげんげを持っていた、
私もげんげを摘んでいた。

あの子が笑う、と、気がつけば、
私も知らずに笑ってた。

げんげのあぜみち、春がすみ、
ピイチク雲雀が啼いていた。

「金子みすゞ 童謡全集」(JULA 出版局)

〈デザイン解説〉

「げんげ-紫雲英」はれんげ草の正式な和名だそうです。
今はあまり見かけなくなりましたが、昔、田んぼにはれんげ草が咲いていました。
素朴でかわいいれんげ草と子供同志のケンカをモチーフにしたとても心温まる詩。
友達とケンカしてしまった日、どうしていいかわからずに歩くあぜ道、謝りたいけど素直になれず、ケンカしてしまった事を後悔しながられんげ畑に行ってみると、友達も同じ気持ちで、同じようにれんげを摘んでいた、このシーンを想像すると愛おしさに溢れます。
誰もが経験する子供同士のケンカ、「仲なおり」の瞬間は微笑ましく温かい気持ちになります。そんな気持ちをれんげ草の葉っぱをハートの形にデザイン、小さなちょうちょはれんげ畑で出会った友達、れんげの花にちょこんと留まっています。
背景には子供らしいギンガムチェックをあしらいました。
れんげ草を摘んだ子供時代のように、いつまでも優しく素直でいたいですね。