• 不思議/さくらいろ

  • 不思議/びゃくぐん

不思議

私は不思議でたまらない、
黒い雲からふる雨が、
銀に光っていることが

私は不思議でたまらない、
青い桑の葉たべている、
蚕が白くなることが。

私は不思議でたまらない、
だれもいじらぬ夕顔が、
ひとりでぱらりと開くのが。

私は不思議でたまらない、
誰に聞いても笑ってて、
あたりまえだ、ということが。

「金子みすゞ 童謡全集」(JULA 出版局)

〈デザイン解説〉

あたりまえの日常、それは、とても素晴らしい事なんだ、と
気付かせてくれる「不思議」という詩。
花が咲く、あたりまえだと思っている事、それは、どれだけ美しい瞬間なのかと
改めて感じる事が出来ます。
このデザインは「ひとりでぱらりと開く夕顔」、この一節から、夕顔の花を
モチーフにしました。
夕顔の花を横から見ると、ヒラヒラとした繊細な花びらは、蝶の美しい羽のようです。
花びらと蝶を重ね合わせ、どちらにも見えるように描きます。
蝶のような花達は、ぱらりと開くと、今にもどこかへ飛んで行ってしまう、そんな不思議な
世界を表現してみました。