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このみち

このみちのさきには、
大きな森があろうよ。
ひとりぼっちの榎よ、
このみちをゆこうよ。

このみちのさきには、
大きな海があろうよ。
蓮池のかえろよ、
このみちをゆこうよ。

このみちのさきには、
大きな都があろうよ。
さびしそうな案山子よ、
このみちを行こうよ。

このみちのさきには、
なにかなにかあろうよ。
みんなでみんなで行こうよ、
このみちをゆこうよ。

「金子みすゞ 童謡全集」(JULA 出版局)

〈デザイン解説〉

詩の冒頭に登場する「榎」は、その昔、旅人が、遠くから見て距離やその場所がわかるように、1本だけ植えられた大きな木です。
そんな榎の姿を、みすゞさんはこう見ていたのでしょうか。
「ひとりぼっちの榎よ、」そう表現すると、少し淋しい気持ちになりますが、「榎よ、このみちをゆこうよ。」と続くことによって、一人じゃない、一緒に行こう、と語りかけられているようで、勇気や強さを感じます。
旅人のランドマークとしての榎の木。
私たちは人生を「旅」によく例えます。長いみち、太いみち、細く険しいみち、私たちはいろんな道を歩んで行きます。
突き進むだけでは疲れてしまう、時々、榎の木陰で立止まって見ると、また新しい違う道が見えて来るかもしれません。
このデザインは、いろんな道と榎の木を重ね、シンプルに並べ構成してみました。
真っ直ぐに進むだけでは疲れてしまいます。時々は、休憩することも人生には大切な事、ホッと一息つけるよう、
木の中に小鳥や星を描き込み、気持ちが安らぐよう可愛いモチーフを入れてみました。