箱のお家が出来ました。
もう、石鹼の箱でもないし、
お菓子箱でもありません。
それは私のお家です。
表に白い石の門、
裏にはきれいな花畠、
お部屋はみんなで十一間
とてもきれいなお家です。
そして私はそこに住む、
小さいかわいいお嬢さま。
きれいなお家がこわされて
かさねた箱になったとき、
私は、古びた、かたむいた、
お部屋の柱を拭いてます。
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箱のお家/うすあけ
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箱のお家/そらいろ
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箱のお家/けしずみいろ
箱のお家
「金子みすゞ 童謡全集」(JULA 出版局)
〈デザイン解説〉
夢見心地な空想の世界を思い描き、その世界に浸っていると、ふとした瞬間に現実に引き戻され「あわわ,,,,,,」と思う事があります。
理想と現実、そんな事を積み重ね、流れていく時間の中で、この詩を読むと、ユーモアいっぱいで、「ある、ある」、って思わず口に出してしまい、みすゞさんがとても身近に感じられる、くすっと笑顔になれる、そんな詩だと思いました。
おうちやお花はシンプルに可愛く表現してみました。