「かあさま、私はなにになる。」
「いまに大きくなるんです。」
杉のこどもはおもいます。
(大きくなったら、そうしたら、
峠のみちの百合のよな、
大きな花も咲かせよし、
ふもとの籔のうぐいすの
やさしい唄もおぼえよし ……。)
「かあさま、大きくなりました、
そして私は何になる。」
杉の親木はもういない、
山は答えていいました。
「かあさんみたいな杉の木に。」
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杉の木/あおにび
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杉の木/すみ
杉の木
「金子みすゞ 童謡全集」(JULA 出版局)
〈デザイン解説〉
公園を散歩していると大きな木のふもとにその木の小さな新芽が出ているのを見かけます。みすゞさんのこの詩も杉の親木と小さな新芽を見て詠んだのではないでしょうか。最後の一節は親木は木材となって伐採され、こどもも成長し親木と同じ運命を待つという少々残酷な結末となっています。親子の会話は気持ちを穏やかに夢見心地な気分にさせてくれますが、はっと現実に戻って魔法が解けたかのような気分になります。
デザインは前半の可愛らしい会話をイメージしました。小さな新芽は木の妖精のような小鳥を想像し、親木にはみすゞうたらしく小さな鈴を付けてみました。