明るい方へ
明るい方へ。
一つの葉でも
陽の洩るとこへ。
藪かげの草は。
明るい方へ
明るい方へ。
翅は焦げよと
灯のあるとこへ。
夜飛ぶ虫は。
明るい方へ
明るい方へ。
一分もひろく
日の射すとこへ。
都会に住む子等は。
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明るい方へ/なのはないろ
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明るい方へ/ふじむらさき
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明るい方へ/みずいろ
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明るい方へ/うすこうばい
明るい方へ
「金子みすゞ 童謡全集」(JULA 出版局)
〈デザイン解説〉
「明るい方へ」のデザインは、ツルマンネン草という植物をモチーフにして描きました。
どこででも見つけられる丈夫な雑草で、6月〜7月頃に黄色の小さな花を咲かせます。
小さなキラキラ星(花)がいくつも集まり、重なり、1つの大きな星のような花を咲かせます。
そしてそれらが、みんな明るい方を向いています。
この花を見付けた時、すぐに、みすゞさんのこの詩を思い出しました。
たくさんのキラキラ星、丈夫な雑草、明るい方を向いている、と全てがピッタリだと思いました。
このお花のように、小さなことでもみんなの力が集まって、積み重ねて行くことで大きな星になれる、
とても大切なメッセージを伝えてくれているような気がしました。
葉っぱも花も、虫たちも、みんな明るい方へ向かっていく。
私たちにとっての明るいところは、夢や希望、そして何より平和な世界なのではないでしょうか。
「明るい方へ、明るい方へ」と口ずさみ、世の中やみんなの気持ちが少しでもその方へ向かいますように。
虹色の小さな星を、画面いっぱいに散りばめて、明るいキラキラとした世界へ、と想いを込めて描きました。
「明るい方へ」とても素敵な言葉ですね。